大人になるのはイヤだなあ

「夕飯、なにがいい?」
アオはよく母さんに聞かれた。

でも幼い子供のレパートリーなんて少ないじゃない?
アオはいつもエビフライ、って答えて却下されてた気がする(笑)

そういえば少し前に、奥さんが旦那さんに「夕飯は何にする?」と尋ねる時は、単純なメニューのリクエストを聞いているわけではない、なんて記事を見た。
奥さんが求めているのは
「冷蔵庫の中身や家人の昼間食べたメニューとのバランス、コスパなどを総合的に考えて、メニューを考えるという労力を、一緒に分かち合ってくれること」
なんだって。
結構納得。

まあ、母さんが子供のアオにそこまで求めていたわけではないだろうけど。

でも毎日、ため息をつきながら夕飯のメニューを尋ねてくる母さんをみて、
アオは大人になりたくないなーって思ってた。

少しだけ大きくなってから母さんにその話をしたら、
大丈夫よ、アオが大人になる頃には「ご飯だよー」って目の前に出されるお皿には、ビタミン剤みたいな粒がコロンと数粒転がってて、それでご飯はおしまい、って世の中になってるから。
と言われた。

それを聞いて、本当にそうなって欲しいなーと思っていた。
母さんは、基本的に食というものに興味がなかったのだろうね。

そんなアオの物語、ゆるりとお付き合い下さいな。

続く。

りゅうさん


街角で、劉さんに似た人を見かけた。
アオの知っている劉さんは15年前の姿だから、本人であるはずはない。

劉さんは中国からの留学生。
アオが最初に働いていた夜のお店の、厨房をやっていた。

日本語は片言。
英語も片言。
アオの英語も片言。

だから身ぶり手振り、たまに漢字の筆談での会話。

喜怒哀楽のハッキリした人だったけど、笑ってることが多かった気がする。
日本語が通じにくいからお店の女の子は敬遠してた。
でもアオは片言同士の会話でも楽しくて、仲良くしてた。

北京大学に行ってた、それ以外は何も知らない。
北京大学の話だって、本当かどうかわからないけどね。

水商売だもの。
お互いにね。

アオがお店を辞めて会うこともなくなって、それっきり。
たまーに思い出す。
わりとイケメンだったよ(笑)

劉さん。
今どうしてるのかな?
元気でいるといいな。

ふと思い出した雨の夜。

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