本の虫

テレビは見たい番組があるときに点けて、番組が終わったら消すもの。
アオはずっとそういうものだと思っていた。
母さんも父さんも、そういう人だったから。

だから大きくなって独り暮らしのカレシの家や友達の家に行った時に驚いた。
なんで、家に着いたら電気を点けるのと同じようにテレビもつけるの?って。

けど同時に、学校のみんながあんなにもテレビの話をしていた理由もようやくわかった。
みんなそれだけ、テレビを見る生活をしてるんだ、って。

母さんはNHKの教育番組でさえ、ほとんど見せてくれなかった。
自分が子育てしていて思うけど、テレビを見せない育児って、大変だよね。

アオはテレビを見せてもらえないから、ひたすら本を読んでた。
本が読めるようになってからはそれでもなんとかなったのかもだけど、それまでは母さん、家事をするときにアオをどんな方法で大人しくさせてたんだろうね?
きっと今聞いても覚えてないだろうね(笑)

とにかくそんな中で育ったアオは、本の虫だった。
幼稚園に行くために着替えている途中でも本を読んでいて、早くしなさい!って母さんに怒られていたよ。

そんなアオの物語、まだまだ続きます。
ゆるりとお付き合い下さいませ。

虫キライ

アオは虫が苦手。
蝶々までが限界かな。
見るだけなら他にも大丈夫なのはあるけど、触るのはイヤ。

いつからだろうね、そういうの。
中学の時にはもうほぼダメだった。
夏に山の中でテント生活を10日くらいした時は、途中からだいぶ慣れてたけど、
しばらくしてまたダメになった。

ああいうのは慣れの問題なのかな。

そんな話を母さんにすると、
「子供の頃のあなたは虫なんか全然平気だったのにね!
手のひらで毛虫を転がしながら帰って来たじゃない」
と言われるんだ。

…そんなこと全く記憶にゴザイマセン。

今、キライな理由はなんだろうね。
噛まれそうとか、動かれるのがイヤとか、そんな感じかな。

小さい頃は頭で変に想像したりしなかったから、平気だったのかな。
わからないね。

そんなアオの物語、まだまだ続きます。
ゆるりとお付き合い下さいませ。

なぜか前髪が気になった

アオが、小学校卒業するまでずっとおかっぱ頭だったことは、前にも話した通り。
前髪も眉前(まゆぜん=眉より上の前髪をこう呼んでいた)がお決まり。

幼稚園の間は、ちょいちょい伸びる前髪はいつも母さんが切ってくれていた。
真面目で、髪を扱い慣れていない母さんが丁寧に切る前髪。

…でも待っているアオの方は暇で飽きちゃって。
母さん床屋にかかるのは、そんなに好きではなかった。

ある日のこと。
アオは突然、自分で前髪を切ってみたくなった。
けれど母さんにバレたら怒られる。

そんなアオがハサミを持って隠れたのは、ばあちゃんが贈ってくれたお雛様の七段飾りの下。

2LDKの賃貸型公団住宅の一室を占拠するかのように大きな雛壇飾り。
幼稚園児の隠れ家には十分な広さ。
そしてアオは前髪を切ってみた。
まっすぐまっすぐ、いつも母さんがやってくれるように…

切った髪はどうしよう?
ゴミ箱に入れたらすぐバレてしまう。
じゃあ、と手近にあった…ソプラノリコーダーの穴に詰め込んだ。

切っては詰め、切っては詰め。
そのうち切るより詰めるが楽しくなって、調子に乗ってどんどん前髪を切っていった。

…鏡も見ずに。

切っているところこそ見られなかったものの、そんなの、顔を合わせれば一発でばれるよね。

ナナメに短くなっている、ざんばらの前髪。

怒るを通り越して呆れていたよ、母さん。

そして最後は仕方なく、美容院に連れて行ってもらって、直してもらいました。
子供ってね。
衝動的にやりたくなったら止まらないのよね。
やっちまったモノが、切ってもまた伸びてくる、髪の毛で良かったわ。

そんなアオの物語、まだまだ続きます。
ゆるりとお付き合い下さいな。

つづく。

お天気

関東地方は大型台風、
北海道は雪。

10月の下旬、で考えるとどっちも…
変な天気。

どこも被害が最小限で済みますように…

問題児

子供って、どうしてシールが好きなんだろうね。
アオも例外じゃなかった。
シール、大好き。
今でもわりと集めちゃう。

幼稚園では連絡帳にカレンダーがあって、登園した日には先生がシールを貼ってくれた。
もちろん、1日1枚。
かわいいシールがたまって行くのが嬉しかった。

シールがもっと、欲しかった。

ある日、アオがいつも使っている机に、幼稚園の連絡帳シールがいっぱい貼ってあることに母さんが気が付いた。

「これ、どうしたの?」
「先生にもらったの」
…嘘だった。

それは、アオが幼稚園で盗んだものだった。
もちろんそんな嘘は母さんにはバレバレだった。
幼稚園に行って、頭を下げる。

…こんな子供、問題児だよね。

どうして盗んだの?
母さんがシールを買ってあげないから?
でもドロボウも嘘も、いけないことなのはわかってるわよね?

まさか自分の子供が盗みをするなんて思いもしない母さんは、さぞかしショックだったと思う。
しかもそれを父さんに報告すれば、悪口を言うなだとか言われたわけで。
八方塞がりだよね。

アオが盗んだのは、欲しかったのになかなか買ってもらえなかったから…
…その時の事象としてはそういうこと。

だけど本当の(アオ自身も気が付いていなかった)理由は、たぶん、母さんに甘えたかったから。

抱っこしない、なかなか褒めない、甘やかさない。
どれも母さんなりの育児方針に基づいた行動だったけれど、アオはもっともっと甘えたかったんだと思う。

そして母さんの気を引く手段として、悪いと言われていることをしたんだと思う。

発達心理学を勉強するようになってから気が付いたことだけどね。

でもアオの問題児っぷりは、これだけでは終わらなかった。

続きはまた。

悪口

父さんはアオをかわいがってくれていた、と記憶している。
父さんの言う「かわいいのは5歳まで」だったかも知れないけど。

確かに小さい頃の写真には、一緒に寝転がっているものや、
お散歩に出ている日常の写真もたくさんある。

そんな父さんだったから。
母さんが相談する「アオの困った素行」は、愚痴どころか悪口に聞こえてしまったらしい。

母さんが日々、相談や報告のつもりで昼間のアオのことについて口にすると、
「俺のかわいいアオの悪口を言うな!」
と怒鳴られたみたい。

母さん、かわいそう。
今子育て中のお父さん、そういうこと絶対にしちゃダメだよ。
ちゃんとお母さんの話をじっくり聞いてあげてね!!
アドバイスとかいらないから!(かえってケンカになるよ)
誰かに聞いて欲しいだけだから!

…話が逸れました。

じゃあ母さんの言い方が悪かったの?と言うと、たぶんそういう訳じゃあない。
本当にね、アオはかなりの困ったちゃんだったと思うよ。

もちろんそれは、アオなりの理由があってのことだけどもね。

長くなるから続きはまた。
ゆるりとお付き合い下さいませ。

渋柿と自転車3

そうそう、焚き火と自転車事故のあった日にもらった渋柿ね。

本当に渋いかどうかは誰もわからなかったんだけど。
とりあえず渋柿を甘くするには干しておくしかない、と判断した両親。
紐で枝を結んで、物干し竿にぶら下げた。

ところでどうなったら、甘くなったとわかるのかしら。
俺は柔らか~いボテボテ柿が好きだから、落ちるくらい柔らかくなってからでいいよ。

そんな両親の会話があって、どのくらい経ってからだったかな。

ふと気付くとベランダにカラスが数羽、集まっている。
あれ、もしかして…
と思った時はすでに遅し。

干してあった柿はついばまれて、カスが下に散らばっているばかり。
カラスたちも狙っていたのね。
そしていつが食べ時かをちゃんと知っていて、すかさずやってきたらしい。

さすがは野生の勘。

結局、もらった柿はアオたちの口に入ることはなく、終わってしまった。

そんなアオの物語、ゆるりとお付き合い下さいませ。

つづく。

渋柿と自転車2

渋柿をもらって、再び父さんの自転車の後ろにまたがったアオ。
後ろは特に子供用座席を取り付けたりはしていなく、
でもアオはいつものことだったから気にもしていなかった。

もうすぐ家、という団地の中の坂道に差し掛かった時。
アオはご機嫌よく足をブラブラさせ…そしてタイミング悪く足首から先が後輪に巻き込まれてしまった。

バランスを失って倒かかる自転車。
それでも完全に地面に投げ出されることはなく、
ヘルメットもしていなかったけど、頭を打たずに済んだ。

そのまま近所の総合病院に連れて行かれ、
足は包帯でぐるぐる巻きになってギブスまでされて帰宅した。

骨は全く大丈夫。
ただの捻挫。

「あそこの先生、おおげさだからねぇ」
と言う母さんと一緒に笑えるくらい、元気だった。

その怪我のことは自分自身のことよりも、その後ギブスを外すために病院へ行った時のことの方が鮮明に記憶に残っている。

処置を待って診察室のベッドに座っていた時。
不意に看護師さんたちがバタバタと走っていった。

急患。
工事現場でセメントの袋が落ちてきて下敷きだって。
担架で目の前を運ばれていく男性。
見たこともない、土気色の顔。
あれは人間の顔色?
怖い…!

自分は捻挫で済んでいて良かった…心底そう思った。

そんなアオの物語、まだまだ続きます。
ゆるりとお付き合い下さいね。

つづく。

渋柿と自転車

アオは小学校卒業までおかっぱ頭だった。
母さんが「あなたはおかっぱが似合う」と言ってずっとそれに従っていたのだけど、
今思えば、母さんが娘の髪を結うのが苦手だったからじゃないかという気もする。

そんな髪型のためか、幼稚園くらいまでのアオは男の子に間違われることも多かった。

そんな秋のこと。
父さんの自転車の後ろに乗って、隣町までサイクリングに出掛けた。
帰り道の住宅街で、ある家が門の外の道端でたき火をしていた。

その横を自転車で通り抜ける時、アオは火の粉が飛んで来そうで、怖くて「通らないで」と半泣きになった。
するとその家の人が出てきて、そんなに怖いなら庭を通っていいよ、と言ってくれた。

アオは自転車を降りて、歩いて庭を抜けさせてもらった。
「坊っちゃん、弱虫だねぇ」
と笑われて、男の子と勘違いされているとわかったけれど、反論する元気もなく。
半泣きのまま家の人に着いて行くと、
「これ、持って行きな」
と、枝がついたままの柿をくれた。

「たぶん渋柿だから、干してから食べるんだよ」
アオは素直に受け取った。

また男の子に間違えられたよ、と父さんに報告をしたら、父さんはまたか、と笑った。

その帰り道、もうひとつ事件が起きるのだけど、その話はまた明日。

ゆるりとお付き合い下さいませ。

続く。

夜のお散歩

父さんのことをあまり書いていないから、今日は父さんとのことを。

父さんは、小さいころはアオをとてもかわいがってくれた。
毎週、週末には近所のテニスコートで同じ団地のテニス仲間と一緒に、テニスをやるのがお決まりだった。
アオもついていって、近所の子供たちと一緒にテニスコートの隅に転がってくる球を拾ったりしていたな。

テニスに行かない時は、よく近所のお散歩に連れて行ってくれた。
うちは父さんも母さんも車の免許を持っていない家だったから、ドライブという記憶はない。
歩いて、お散歩。

団地の近くにはまだまだ空地がいっぱいあって、そうだ、田んぼもあった。
だから春になると田植え前の田んぼに足を突っ込んで、カエルの卵を拾って帰ってきては育てていた。
つくしやよもぎを摘んで、卵とじやヨモギ餅を作ってもらったりもした。

お散歩には、夜に行くこともあった。

あれは夏だったのかな、あまり覚えていないけれど。
父さんと夜、団地の中をお散歩していた。
駐車場を横切って歩いていて、アオがちょっとよそ見をしている間に父さんが少し先へ行ってしまった。

街灯はあるけれど、ひと気の無い夜の駐車場。
アオは父さんに置いて行かれまいとして慌てて走って追いかけた。
と、そこに、車止めのチェーンが張ってあった。
まんまと足を引っかけて、転んだアオ。

手が出る前に顔から落ちてしまい、人生初の鼻血体験。

鼻の根元をつまんで、座って上を向いて。
集会場の薄明かりの下で父さんに言われた通りにしていたら、やがて鼻血は止まった。

幼稚園とかで鼻血を出している子を見たことはあるけれど、自分が出したのは生まれて初めて。
半泣きだったくせに、治まってしまえば
「アオねー、生まれて初めて鼻血出したんだよ」
と周りに自慢げに話していた。

子供っておかしいね。

そんなアオの物語、まだまだゆるりとお付き合い下さいな。

続く。

抱っこ。

トラバテーマから。

「幸せを感じる瞬間」。

それはもう、コレしかないよね。

「娘をぎゅー♪っと抱っこしてる瞬間」。
もう赤ちゃんじゃないからさ、人前でぎゅーってできる年齢でもないのだけどね。
でもおうちではぎゅーって抱っこするよ。
ほっぺたすりすりもするよ。
かわいいもん。

今しか、できないもん。

もうあと何年かな?
あと何回かな?

とか考えるとちょっぴり切なくなるくらい。
だから今、できるうちに、いーーーっぱいぎゅーってしておくんだ。

大人になった娘が、そこから伝わるぬくもりをココロのどこかにしまっておいて、
辛くなった時に「一人じゃないんだ」って思ってくれたらいいな、って。
そんな願いを込めながら。


FC2トラックバックテーマ 第2329回「幸せを感じる瞬間はいつですか?」

哀しみのお団子

それは暑い夏の日のことだった。
アオは幼稚園生くらいかな?
母さんと、病院に行った帰り道。

ふと母さんが、お腹すいた?と聞いてきた。
アオはそれほどでもなかったので、すいてないと答えた。

すると母さんが
「そっか。お腹がすいてたらアイスクリームでもと思ったけど、大丈夫ね」
とサーティーワンの前を通りすぎながら言った。

アイス!!

ふだんひどく少食で食事を残すことも多かったアオは、おやつをほとんど食べる機会がなかった。
おやつを食べて夕飯が入らなくなったら困るから。

だからアイスクリームなんて、めったに食べることができない。
でもアイスクリーム、好きなんだよ!

…けど今さら、やっぱりお腹がすいたなんて言っても、きっとウソだと思われちゃうよね。
言えない…だけどアイス…

小さな頭をアイスクリームでいっぱいにしながら、炎天下の道を歩いた。

…やっぱりアイスを諦めきれない!!

そう思ったアオは精一杯の勇気で
「やっぱお腹すいた」
と母さんに言ったの。

「そう、じゃあお店に寄るか」
母さんが笑顔で言ってくれたときにはサーティーワンははるか向こう。
母さんは迷うことなく、ちょうどそこにあった和菓子やさんののれんをくぐった。

「好きなのを選んでいいよ」
と母さんは言ってくれたけど。
アオはみたらしが好きだったから、みたらし団子を選んだけど。
本当はアイスが食べたかったの、って言えなかった。
お腹なんかすいてないんじゃない?と言われるのが恐くて。

握りしめて帰ったお団子の包み。
一番に食べたいものじゃない、って気持ちで食べるのが、お団子に申し訳なくて。

哀しい気持ちで噛み締めた。

そんなアオの物語、ゆるりとお付き合い下さい。

続く。

おねだり

アオはおねだりに弱い。
娘に「○○を買って」と言われると、その時は「今日の予定にはないから」と断れるのだけど、
この先ずっと買わない、絶対に買わないと言い切るのが苦手なの。

ハッキリとしたダメな理由があるときは別よ?
だけど例えば靴下とか文房具で、いずれは必要になるもので、
アオはシンプルなノンキャラものでいいじゃんって思うけど、
娘に「あっちのかわいいのがいい」と食い下がられると、お金っていう大人の都合だけで断るのも気の毒な気がしちゃって。
甘いね。

それというのも、ダメと言ったら絶対に譲らない母さんの下で育った反動なのかな?

なんかさ、アオの物語を読み返してみると、母さんってとってもひどい人だったみたいに見えない?
そんなことはないのよ?
いっぱい、愛情をかけてもらったって思ってるよ。

やり方がちょっとね、不器用だっただけでね。

まあそんなわけで、アオはおねだりしない子になった。
しても、叶えてもらえないって諦めがあったから。

子供向けのおもちゃも、キャラものとか一切なかったな。
絵本だけはいっぱい買ってくれた。

だからアオはいつも、本ばかり見てたよ。

そういえばおねだりで忘れがたい「事件」があったわ。
アイスクリームとお団子。
長くなるから、詳しくは明日ね。

ゆるりとお付き合い下さいな。

続く。